イランの文化とペルシャ絨毯が作られる歴史的背景

ペルシャ絨毯
ペルシャ絨毯の起源は、今から3000〜4000年前に遡ると言われています。
その頃から、ペルシャ(今のイラン)では文様入りの美しい織物が存在し、敷物として使用されていたことが知られています。
現存する最古の絨毯は、サンクトペテルブルグのエルミタージュ博物館に保管されています。
南シベリア、アルタイ山中のパジリク古墳を発掘した際に、偶然にも永久凍結の状態となっていた為に劣化と免れて発見されたもので、紀元前500年頃のものと言われています。
文様構成や色調が、ペルシャ最初の統一王朝アケメネス朝の文様と似ていることから、その源流はペルシャであると考えられています。
その後、長い歴史に培われたペルシャ絨毯は、14世紀に入りペルシャ全土に及び、16世紀、サファビー王朝シャーアッバス1世の時代はペルシャの美術工芸の黄金時代で、ペルシャ絨毯の制作も最盛期を迎えました。また、アッバス1世によって都がイスファハーン遷されたことは絨毯制作に大きな意味を持っています。
新しい王宮、庁舎、邸宅の建設に伴い、絨毯の需要が増大し、そのため宮廷工房が設立されました。そして羊の飼育から染料植物の栽培まで一貫して宮廷の敷地内で行われたと言います。
ヨーロッパでは宮廷建築の床を飾るものとして、耐久性、そして芸術性の高いペルシャ絨毯に早くから目を向けており、今では一般家庭に広く普及しています。
ペルシャ絨毯は、シルクロードを通り、18世紀に長崎を通じてはじめて日本に輸入されました。